経営戦略の考え方(5)成長戦略の補足①多角化戦略のシナジー効果
前回は最適資源配分と成長戦略についてお伝えしました。今回は競争戦略についてお伝えする予定でしたが、成長戦略における多角化戦略の部分でもう少し補足したいことがあるので数回にわけてお伝えししていきます。念のため前回でも使用した図を再度下記に掲載しておきます。
前回のブログで多角化戦略は安易に取るべきではないとお伝えしましたが、多くの大手企業や一部の中小企業は多角化戦略を取っています。そういった企業に共通して言えるのはPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)において「金の成る木」があるということです。
この「金の成る木」を確保した上で多角化戦略に打って出るのであれば良いのですが、中小企業においてはひとつの事業が上手くいく前に他の事業に手を出してしまうケースが多いのではないかと感じます。これでは全てが上手くいかなくなってしまいます。
では「金の成る木」を持っている企業は何のために多角化戦略を取るのでしょうか?収益の安定化やリスク分散、未使用資源の活用などが考えられますが、一番の大きなメリットはシナジー効果にあると言えるでしょう。シナジー効果は下記の4つにわけられます。
①販売シナジー
ブランドや流通チャネルなどを共通利用。
②生産シナジー
生産施設・人員などの共通利用。
原材料の大量一括購入などによるコスト削減。
③投資シナジー
施設・設備などを共通利用。類似分野の研究開発費を削減。
④管理シナジー
経営ノウハウや過去の問題解決方法などを共有。
このように多角化戦略におけるシナジー効果を踏まえた上で、次回は多角化戦略の詳細を見ていきたいと思います。