経営戦略の考え方(13)マイケル・ポーターの3つの基本戦略/コストリーダーシップ戦略(価格戦略)、差別化戦略(付加価値戦略)、集中戦略(コスト集中戦略、差別化集中戦略)
前回は自社が所属する業界のタイプを知るということで
アドバンテージマトリクスを使って
4つの事業のタイプをお伝えしました。
今回は競争優位性を構築するための
下記、3つの基本戦略をお伝えします。
1)コストリーダーシップ戦略(価格戦略)
2)差別化戦略(付加価値戦略)
3)集中戦略(差別化集中戦略、コスト集中戦略)
新しいフェーズに入るので一旦整理したいと思います。
競争戦略の定義をもう一度確認すると・・・
業界内で防衛可能な地位をつくり、
5つの競争要因(ファイブフォース)にうまく対処して、
企業の投資収益を大きくするための
攻撃的または防衛的アクション
・・・です。
競争優位に立つために業界構造を把握し、
(ファイブフォース分析)
自社の属する業界のタイプ
(アドバンテージマトリクス)を知る必要があった、
というのが前回までの流れです。
そして、5つの競争要因の内、
何が一番大きな影響を及ぼしているのかを知ることで、
企業が直面する機会と脅威を知ることができました。
更にこの5つの競争要因に対処するためには、
他社より魅力ある特定のポジションを
構築する必要性があるわけです。
そのための考え方が今回お伝えする
ポーターの3つの基本戦略になります。
下の図をご覧ください。
縦軸に戦略ターゲットの幅、
横軸に競争優位のタイプを取り、
3つの基本戦略として考えます。
ひとつずつ順に解説していきましょう。
●コストリーダーシップ戦略(価格戦略)
どの競合他社よりもコストの面で
優位に立つことでリーダーシップを取る戦略です。
これを実現するにはいくつかの方法がありますが、
バリューチェーンを見直し、
どこでコスト削減ができるかを検討すること、
規模の経済・経験曲線を働かせることです。
そして、注意が必要なのは単に安売りすることではありません。
ローコスト・オペレーションで安くても利益が出る
仕組みをつくることです。
●差別化戦略(付加価値戦略)
差別化は良く出てくるキーワードですから、
ここで再度確認しておきたいと思います。
差別化というのは・・・
他社にはない自社だけの強みであり、
顧客が価値を感じること!
・・・です。
では、顧客が感じる価値というのは何でしょう。
ここでは簡単に触れますが、
注意しなければならないことが2つあります。
ひとつは顧客が感じる価値に希少性があるかどうか、
もうひとつは模倣困難なものであるかどうかです。
●集中戦略
企業の資源を特定のターゲット、
製品、流通、地域などへ集中的に投下します。
そうすることで少ない経営資源でも
効率の良い戦略の実行が可能になります。
そして集中戦略は、
特定の製品やサービスに対して・・・
・徹底したコスト削減を行う手法(コスト集中戦略)
・特定の製品やサービスに対して
徹底した差別化を図る手法(差別化集中戦略)
・・・の2つがあります。
特に中小企業の場合には
経営資源が乏しいにも関わらず、
マーケットは広範囲なので、
集中戦略を選択した中で、コスト集中戦略、
差別化集中戦略のいづれかを選択しなければなりません。
次回は企業が競争優位を生み出すための考え方、
バリューチェーン(価値連鎖)についてお伝えします。